G-ROOMSもいよいよ4回目。リィアンとスローネドライということで、鷲尾君はやっぱり期待を外さないよね。ネーナ愛が素晴らしい!
第3回の締めで、キャラクターを描くことは封じられていましたから(笑)。
鷲尾君はメカもかわいい女の子も両方描けるんだけど、今回は企画の趣旨から外れるから、キャラは禁止にさせてもらいました(笑)。さて、イラストを描き慣れているだけあって、構図や空気感がいいよね。これは、どんなシチュエーションを描いているの?
テスト中のリィアンです。リィアンは早い段階から出てきているので、セカンドシーズン以前に試験運用されていたというイメージです。
ただでさえ大きいモビルスーツを収納するから、難しい部分もあったよね。
そうですね。ドライが入っていることを、わからないようにすることが前提でしたから。登場後は、カメムシなんて言われていましたね(笑)。
もともと飛行型で、カメムシとかタガメといった昆虫的な形状というイメージだったよね。あんまり格好良くても困る機体だったから。
翼のある案もあったんですけど、最終的にこの形になりました。とはいえ、「どうやってドライを入れようかな」という部分は悩みましたね。
一度、リィアンで何かを運んだよね?
トラックで荷物を運んでいましたね(セカンドシーズン第6話)。
そうそう。コンテの段階では、荷物を運ぶ電動台車のつもりで描いていたんだけど、なぜかトラックになっていたり(笑)。対比がおかしかったので、結局描き直したんだよね。
デザインをリフティングボディにしたこともあって、形的にも描き辛かったのかもしれません。
でも作画上で、そんなに苦労したという話は聞かなかったかな。ただ単独でスーッと飛んでいることが多かったから、レイアウトは難しかったかもしれない。
他のメカと絡んでいないので、サイズが分かりにくかったかもしれませんね。
一方のドライなんだけど、アルケーガンダムという選択肢はなかったの?
アルケーは今後、MSVなどに登場する可能性はあると思うんですが、ドライは、もうあまり描く機会がないと思ったんです。
セカンドシーズンまでデザインが、変更されずに生き残った機体という意味では、稀有な存在だよ。でも、もうネーナもいないしね。
そうなんです。海老川さんがレグナントを描かれたのも、ドライを選んだ理由ですね。ルイスの憎しみの対象を描いてみようかなと。
こうしてみると、スローネはやっぱり“鷲尾メカ”ってデザインだよね。
イラストはちょっと誇張して、肩のフレームなどを長くしていますね。本来、スローネはこんなに長くないんです。ちょうどアルケーと同じぐらいですね。
スローネチーム(トリニティ)は、トレミーチームの知らないもうひとつのガンダムということで、そこに鷲尾君独自のラインがうまく合った印象だよね。そもそもソレスタルビーイングは、大義名分を抱えているけど、やっている行為自体はテロリストも同然。そこがちゃんと描かれないと、ただかっこいいだけの人になってしまう。そこをはっきりさせるために、もっと強烈な実行部隊がいたほうがいいということで、黒田(洋介)君がスローネチームを考えたんだよね。たしかデザイン面では細かい修正程度で、大きな変更はなかったと思ったけど。
ファーストシーズンの前に提出したコンペの流れのままですね。最初にツヴァイが決まって、そこからアインとドライを派生させていったんです。トレミーチームのガンダムは、大きい背負いモノ(バックパック)をつけないシンプルなデザインでしたけど、スローネは異なる系統なので、逆にバックパックをつけようという方向性でした。
武器は黒田君からのリクエストだよね。これは他のメカでもそうだけど、脚本に変な縛りを与えないために、まず黒田君のアイデアを聞いて、設定に取り込んでもらうという流れだった。実際に黒田君からは、どんなリクエストがあったの?
「並んだときに左右対称にしてほしい」という話でしたけど、いつの間にか無くなりました。
それは合体ネタを想定したリクエストだね。ツヴァイがセンターで、左右で3体合体するものを考えていたんだ。そこに鷲尾君のデザインが上がってきたんだけど、デザインを見た時に「合体はないな」って思った(笑)。結局、武器をみんなで使う方法で三位一体感を出す方向にしたんだ。
3機の中で、黒田さん的にはツヴァイが使いやすかったように見えますね。
それはツヴァイが剣を使うからかな。戦いの中でのセリフの応酬は、剣を交えるとやりやすい。黒田君の脚本の面白さの一端は会話劇にあるから、ツヴァイはちょっと恵まれていたかもしれないね(笑)。
確かに、リアルさだけを追求したら、前に出てこなくてもいいこともありますね。
たとえばドライだったら、後方で作戦を見ながら状況を把握して、自分の出番に活躍するというタクティカルな活躍をしたと思うな。初登場時(ファーストシーズン第16話)は、GN粒子を大量散布して後方支援メカらしさを出せた。でもストーリーを進行させるためには、どうしても刹那たちの近くに置かないといけない。この機能を徹底的に活かせるストーリーを作れなかったのは、残念といえば残念。
画面には見えていないけど、後方でいろいろとやっていると、想像して欲しいですよね(笑)。
そうやって想像して楽しめるのも、ガンダムのいいところだよね。
鷲尾直広(わしお・なおひろ)
メカニックデザイナー、イラストレーター、漫画家。『宇宙のステルヴィア』でメカデザイナーとしてデビュー後、『蒼穹のファフナー』『ヒロイック・エイジ』『異世界の聖機師物語』などでメカデザインを担当。『ガンダム00』では、ガンダムスローネシリーズ、アルケーガンダム、スローネチームの母船などのデザインを手がけた。
リィアン
王留美のエージェントとなったネーナが、情報収集活動の際に使用する機体。コア部には、4年前に改修されたスローネドライが格納されており、高い策敵能力を発揮する。また機体前部の貨物スペースで輸送機としても使用できるほか、GNロングライフルで戦闘にも対応する。
■設定画 リィアン
ガンダムスローネドライ
ガンダムスローネの3号機。共通の素体を使用するスローネチームの中で、ドライは戦闘支援と策敵能力の強化を目的とした装備が搭載されている。巨大なバックパックと左腕のシールドからは、広範囲にGN粒子を散布し、ジャミング性の高いGNステルスフィールドを展開可能。また右腕のGNシールドポッドはウェポンラックで、予備の武装を搭載できる。
■設定画 ガンダムスローネドライ
G-ROOMSもいよいよ4回目。リィアンとスローネドライということで、鷲尾君はやっぱり期待を外さないよね。ネーナ愛が素晴らしい!
第3回の締めで、キャラクターを描くことは封じられていましたから(笑)。
鷲尾君はメカもかわいい女の子も両方描けるんだけど、今回は企画の趣旨から外れるから、キャラは禁止にさせてもらいました(笑)。さて、イラストを描き慣れているだけあって、構図や空気感がいいよね。これは、どんなシチュエーションを描いているの?
テスト中のリィアンです。リィアンは早い段階から出てきているので、セカンドシーズン以前に試験運用されていたというイメージです。
ただでさえ大きいモビルスーツを収納するから、難しい部分もあったよね。
そうですね。ドライが入っていることを、わからないようにすることが前提でしたから。登場後は、カメムシなんて言われていましたね(笑)。
もともと飛行型で、カメムシとかタガメといった昆虫的な形状というイメージだったよね。あんまり格好良くても困る機体だったから。
翼のある案もあったんですけど、最終的にこの形になりました。とはいえ、「どうやってドライを入れようかな」という部分は悩みましたね。
一度、リィアンで何かを運んだよね?
トラックで荷物を運んでいましたね(セカンドシーズン第6話)。
そうそう。コンテの段階では、荷物を運ぶ電動台車のつもりで描いていたんだけど、なぜかトラックになっていたり(笑)。対比がおかしかったので、結局描き直したんだよね。
デザインをリフティングボディにしたこともあって、形的にも描き辛かったのかもしれません。
でも作画上で、そんなに苦労したという話は聞かなかったかな。ただ単独でスーッと飛んでいることが多かったから、レイアウトは難しかったかもしれない。
他のメカと絡んでいないので、サイズが分かりにくかったかもしれませんね。
一方のドライなんだけど、アルケーガンダムという選択肢はなかったの?
アルケーは今後、MSVなどに登場する可能性はあると思うんですが、ドライは、もうあまり描く機会がないと思ったんです。
セカンドシーズンまでデザインが、変更されずに生き残った機体という意味では、稀有な存在だよ。でも、もうネーナもいないしね。
そうなんです。海老川さんがレグナントを描かれたのも、ドライを選んだ理由ですね。ルイスの憎しみの対象を描いてみようかなと。
こうしてみると、スローネはやっぱり“鷲尾メカ”ってデザインだよね。
イラストはちょっと誇張して、肩のフレームなどを長くしていますね。本来、スローネはこんなに長くないんです。ちょうどアルケーと同じぐらいですね。
スローネチーム(トリニティ)は、トレミーチームの知らないもうひとつのガンダムということで、そこに鷲尾君独自のラインがうまく合った印象だよね。そもそもソレスタルビーイングは、大義名分を抱えているけど、やっている行為自体はテロリストも同然。そこがちゃんと描かれないと、ただかっこいいだけの人になってしまう。そこをはっきりさせるために、もっと強烈な実行部隊がいたほうがいいということで、黒田(洋介)君がスローネチームを考えたんだよね。たしかデザイン面では細かい修正程度で、大きな変更はなかったと思ったけど。
ファーストシーズンの前に提出したコンペの流れのままですね。最初にツヴァイが決まって、そこからアインとドライを派生させていったんです。トレミーチームのガンダムは、大きい背負いモノ(バックパック)をつけないシンプルなデザインでしたけど、スローネは異なる系統なので、逆にバックパックをつけようという方向性でした。
武器は黒田君からのリクエストだよね。これは他のメカでもそうだけど、脚本に変な縛りを与えないために、まず黒田君のアイデアを聞いて、設定に取り込んでもらうという流れだった。実際に黒田君からは、どんなリクエストがあったの?
「並んだときに左右対称にしてほしい」という話でしたけど、いつの間にか無くなりました。
それは合体ネタを想定したリクエストだね。ツヴァイがセンターで、左右で3体合体するものを考えていたんだ。そこに鷲尾君のデザインが上がってきたんだけど、デザインを見た時に「合体はないな」って思った(笑)。結局、武器をみんなで使う方法で三位一体感を出す方向にしたんだ。
3機の中で、黒田さん的にはツヴァイが使いやすかったように見えますね。
それはツヴァイが剣を使うからかな。戦いの中でのセリフの応酬は、剣を交えるとやりやすい。黒田君の脚本の面白さの一端は会話劇にあるから、ツヴァイはちょっと恵まれていたかもしれないね(笑)。
確かに、リアルさだけを追求したら、前に出てこなくてもいいこともありますね。
たとえばドライだったら、後方で作戦を見ながら状況を把握して、自分の出番に活躍するというタクティカルな活躍をしたと思うな。初登場時(ファーストシーズン第16話)は、GN粒子を大量散布して後方支援メカらしさを出せた。でもストーリーを進行させるためには、どうしても刹那たちの近くに置かないといけない。この機能を徹底的に活かせるストーリーを作れなかったのは、残念といえば残念。
画面には見えていないけど、後方でいろいろとやっていると、想像して欲しいですよね(笑)。
そうやって想像して楽しめるのも、ガンダムのいいところだよね。
鷲尾直広(わしお・なおひろ)
メカニックデザイナー、イラストレーター、漫画家。『宇宙のステルヴィア』でメカデザイナーとしてデビュー後、『蒼穹のファフナー』『ヒロイック・エイジ』『異世界の聖機師物語』などでメカデザインを担当。『ガンダム00』では、ガンダムスローネシリーズ、アルケーガンダム、スローネチームの母船などのデザインを手がけた。
リィアン
王留美のエージェントとなったネーナが、情報収集活動の際に使用する機体。コア部には、4年前に改修されたスローネドライが格納されており、高い策敵能力を発揮する。また機体前部の貨物スペースで輸送機としても使用できるほか、GNロングライフルで戦闘にも対応する。
■設定画 リィアン
ガンダムスローネドライ
ガンダムスローネの3号機。共通の素体を使用するスローネチームの中で、ドライは戦闘支援と策敵能力の強化を目的とした装備が搭載されている。巨大なバックパックと左腕のシールドからは、広範囲にGN粒子を散布し、ジャミング性の高いGNステルスフィールドを展開可能。また右腕のGNシールドポッドはウェポンラックで、予備の武装を搭載できる。
■設定画 ガンダムスローネドライ